【相続手続】叔父の相続と重なった複数の相続手続の壁を乗り越えた難易度の高い事例（東京都足立区）

相続関係図

本事例は、複数の相続手続きが関係し、相続人も多数に及ぶため相続関係が複雑です。

背景事情

東京都足立区に住む76歳のTさんは、亡くなった叔父のAさん（94歳）の相続手続きについて相談に来られました。Aさんには子供がなく、配偶者のBさんとTさん（甥）、Tさんの弟でCさん（甥）の3名が相続人でした。
BさんはAさんが亡くなる5年以上前から重度の認知症で施設に入居していました。相続手続きを進めるためには成年後見制度の活用が必要でしたが、施設での生活に支障がなかったため申立てを行わず、状況を見守ることになっていました。その後、Aさんの死亡から約２年後にBさんも亡くなり（※1）、AさんとBさん両方の相続手続きを進める必要が生じました。
また、手続を進める中で、TさんとCさんには腹違いの妹Dさんがいることが分かりましたが、DさんはAさんが亡くなる前に死亡していることが分かりました。しかし、Aさんが亡くなった後にCさんが亡くなり、、Cさんの相続権はTさんだけではなく、Dさんの娘E、Fの2名にも引き継がれることが判明しました（※2）。さらにBさんの相続人についても誰が該当するのか不明で、手続は複雑を極めました。

※１　Aさんの相続について、相続人であったBさんの地位をBさんの法定相続人が承継することになります（権利義務承継人）。
※２　Aさんの相続について、相続人であったCさんの地位をDさんの法定相続人がそれぞれ承継することになります（権利義務承継人）。

解決のポイント

〇Aさんの相続に関して、Cさん、Dさんの権利義務承継人（腹違いの妹とその相続人）を特定し、連絡を取る必要があった。
〇Bさんの相続人を特定し連絡を取る必要があった。
〇Tさんが支払った葬儀費用等の精算をする必要があった。
〇AさんとBさんが共有で所有する不動産の売却とそれに伴う相続人間の調整をする必要があった。
〇Bさんの相続人間の関係が悪く協議の難航が予想された。
〇相続人が全国に点在し、一堂に集まることが困難だった。
〇Bさんの相続人の中に自己破産手続中の方がいたため、弁護士（破産管財人）との調整が必要だった。

当事務所の対応

〇相続人の確定と連絡
まず、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの戸籍を収集し、相続人を確定しました。新たに判明した相続人に連絡を取り、説明を行いました。特にBさんの相続人は6名にのぼり、1名は北海道在住でしたが、可能な限り直接会って意向を確認しました。
〇相続財産の整理と分割協議の成立
全員相続を希望されたため、法定相続分に従い、きっちり分配する形で遺産分割協議を進めました。相続財産には不動産と預貯金が含まれており、預貯金から葬儀費用等を精算し、不動産は売却して売却代金から仲介手数料、租税公課、相続登記費用等を控除した残金を相続人に分配する形としました。
〇不動産売却の手続
不動産の売却に向けて不動産仲介業者を選定し、買い手を探しました。また、不動産の名義人となる相続人を説得に手続き等を説明し、決済にも立ち会いました。
〇円滑な分配の実施
売却代金を含む分配精算書を作成し、開設した遺産整理口座から各相続人へ法定相続分どおりに分配を行いました。

結果・お客様の声

本件は複数の要因が絡み合う非常に難易度の高い案件でした。しかし、粘り強く相続人と連絡を取り、最終的に法定相続分での分配を成立させることができました。

Tさんからは次のお言葉をいただきました。

「自分たちでは相続人の特定すらできなかったので、本当に助かりました。ここまできっちり分配してもらえて感謝しかありません。」

相続でお困りの際は、ぜひご相談ください。