背景事情
Iさん(58歳・千葉県松戸市在住・女性)は、85歳で亡くなった父の相続手続きを進めるため、当事務所にご相談にいらっしゃいました。 相続人は、Iさんとその母、そしてIさんの弟さんの長女Aさん(26歳)の3名。しかし、弟さんは28歳の若さで不慮の事故により亡くなり、そのときAさんはまだ母親のお腹の中にいる胎児でした。その後、Aさんは生まれ、しばらくして母親とともに親戚の家へ養子に入りました。それ以来、IさんとAさんは疎遠となり、連絡を取ることができない状態が続いていました。
解決のポイント
Iさんは、長年音信不通だったAさんと連絡が取れず、相続手続きを進めることができませんでした。また、Iさんとしては、Aさんが相続を希望するならば、その意思を尊重したいと考えており、公平・公正な形で遺産分割を進めることを希望していました。 相続財産としては、2000万円相当の自宅と300万円の預貯金がありました。しかし、預貯金が少ないため、遺産の分配方法には慎重な検討が必要でした。
当事務所の対応
まず、Aさんの所在を特定するため、戸籍の附票を取得し、現在の居住地を確認しました。その後、Aさんに連絡を取り、事情を丁寧に説明しました。Aさんは、突然の連絡に驚きながらも、相続について冷静に考えたいとのことでした。そこで、相続に関する基本的な説明を行い、法定相続分や遺産分割の進め方について具体的な提案をしました。最終的にAさんは、「法定相続分での相続ではなく、いくらかの現金を受け取る形で了承したい」との意向を示し、100万円を受け取ることで合意しました。
結果・お客様の声
預貯金の少なさを考慮し、現実的な分配方法を検討した上でAさんの意向を尊重して公平・公正なプロセスを経て遺産分割を実施することができました。
最終的に、Iさんは、
「Aさんが元気で立派な大人に成長していたことを知り、とても感慨深かった」
「自分たちではAさんを見つけることすらできなかったので、本当に助かりました。とても丁寧に対応していただき、スムースに解決できたことに感謝しています。」
と話されていました。
胎児に相続権があることは民法に規定がありますが、実際のケースで扱うことになるとは思いませんでした。実務では本当にいろんなケースに遭遇します。相続の奥深さを再確認した案件となりました。

相続でお困りの際は、ぜひご相談ください。