背景事情
神奈川県横浜市に住む35歳のOさんは、亡くなった祖父(享年88歳)の相続手続についてご相談にいらっしゃいました。相続人は、Oさん(亡くなった長男の息子)と弟のAさん、そして祖父の長女Bさんの3名でした。OさんとAさんの関係は良好です。それぞれの法定相続分は、OさんとAさんが各4分の1ずつ、Bさんが2分の1でした。
ところが、祖父は生前、亡き長男の妻であるCさん(Oさんの母)に大変世話になったことを考慮し、自筆の遺言書を遺していました。その内容は、財産の半分近くを占める自宅不動産をCさんに遺贈するというものでした。また、祖父が生前にBさんへ合計2000万円の贈与を行ったことがメモ書きとして残されており、Cさんも祖父からその話を聞いていたとのことでした。しかし、BさんとCさんの関係はあまり良好ではなく、話し合いが難航することが予想されました。
祖父の遺産は以下のとおりでした。
自宅不動産:4000万円相当
Bさんが居住している不動産:3000万円相当
預貯金:4000万円
Cさんは、自宅をOさんが相続するのが望ましいと考え、遺贈を放棄する意向を示しました。ただし、その条件として、Bさんが生前贈与の事実を認めた上で遺産分割協議を進めることを求めていました。Oさんは、母であるCさんの意向を尊重しながら、Bさんとの協議を進めるために、第三者の専門家に相談することを決意されました。
解決のポイント
〇公平な立場を維持しながら話し合いをまとめること。
〇Bさんと直接会って慎重に意向を確認すること。
〇Cさんに対して、遺贈放棄の法的効力や相続手続きの進め方を詳細に説明すること。
〇意見の対立が大きくなった場合、手続きの進行が難しくなることを関係者に事前に説明すること。
当事務所の対応
〇関係者全員に直接会って説明
Oさん、Aさん、Bさん、それぞれと個別に面談し、状況と意向を丁寧に確認しました。
Bさんとは特に慎重に話し合い、生前贈与の事実を認めるかどうかを確認しました。
〇Cさんへの説明
遺贈放棄を行うタイミングやその影響について詳しく説明しました。
〇遺産分割協議の進行
Oさん、Aさん、Bさんとの話し合いを重ね、公平な分割案を提案しました。
結果・お客様の声
慎重な意向確認と話し合いの結果、次のような遺産分割協議が成立しました。
〇Bさんは生前贈与を認め、Bさんが居住している不動産(3000万円)と預貯金1000万円を取得。
これにより、Bさんは相続財産の半分に相当する6000万円(生前贈与2000万円を含む)を受け取ることになりました。
〇Oさんは祖父の自宅不動産(4000万円)と預貯金1000万円を取得。
〇Aさんは預貯金2000万円を取得。
〇Cさんは遺贈を放棄。
この分割案によって、Bさんが生前贈与を受けていたことを前提にした公平な相続が実現しました。また、Cさんの意向も尊重され、Oさんが祖父の自宅を相続する形となりました。
Oさんからは以下のメッセージをいただきました。
「家族間の感情が絡む問題だったので、自分たちだけではまとまらないと思っていました。専門家の方に間に入っていただいたおかげで、公平な形で解決することができました。特に、相続のルールや手続の流れをしっかりと説明していただいたことで、安心して協議を進めることができました。本当にありがとうございました。」
今回のケースでは、亡くなった長男の妻であるCさんが自らの権利を放棄する形でOさんに配慮を示しました。一方で、Bさんとの関係性や生前贈与の認識の違いが問題となり、遺産分割協議がスムースに進むかどうかが課題でした。
このような家族間の感情が絡む相続問題では、法律的な解決だけでなく、関係者の気持ちに寄り添いながら調整を進めることが重要です。公平な立場で意見をまとめることで、皆様が納得できる形で解決に至ったことは、私にとっても大変意義のあることでした。今後も、相続に関するご相談に真摯に向き合い、それぞれのご家族にとって最善の解決策を提案できるよう努めていきたいと思います。

相続でお困りの際は、ぜひご相談ください。