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【相続手続】伯母の相続で居所不明の相続人が2人|調査会社と現地訪問で乗り越えた解決事例(東京都武蔵野市)

Hさん(55歳) | 東京都武蔵野市在住 | 男性

Hさん(55歳) | 東京都武蔵野市在住 | 男性

居所不明の相続人がいる場合の対処法。時間をかけて粘り強い調査で遺産分割協議を成立させた解決事例です。

Hさん(55歳) | 東京都武蔵野市在住 | 男性

背景事情

伯母が亡くなったのは、春の終わりでした。
「一人で寂しく亡くなっていたんです。せめて、きちんと見送ってやりたくて……」
そう語ってくださったのは、今回ご相談いただいたHさん。東京都武蔵野市にお住まいの55歳の男性です。

Hさんは、東京にいながらも新潟で一人暮らしをしていた伯母の面倒を、最期まで見ておられました。葬儀の手配から納骨までを一人でこなされたとのこと。その中で出てきたのが「相続手続き」の問題でした。

伯母は生涯独身。お子さんもいらっしゃらず、相続人は兄弟姉妹および甥姪あわせて5名。ただ、そのうち2名の所在がわからないというのがHさんの大きな悩みでした。

「伯父は昔から連絡が取れないし、弟も連絡がつかなくて……」
相続人5名のうち、Hさん自身と連絡のとれている2名はすでに「すべてHさんが相続してくれればいい」と快諾済み。しかし、伯父(80歳)と弟(52歳)のお二人とは居所が分からない状況。

しかも、伯母名義の財産(ゆうちょ銀行の貯金1,200万円)のほかに、名義が祖父のままになっている伯母が住んでいた新潟の不動産もあり、これも合わせて整理しておきたいというご希望がありました。

当事務所の対応

戸籍と附票での調査、しかし連絡つかず。調査会社の力を借りる
まずは戸籍と附票を確認し、二人の「住民票上の住所」を特定しました。伯父は大阪に、弟は東京都内に住んでいることがわかりました。

ところが、そこからが長い道のりでした。書面を送っても返事はなし。電話番号はわからずじまい。

私は、まず伯父に対して、ネットで探した信頼性の高い調査会社を活用することをHさんに提案しました。今回利用したのは、元裁判所書記官が運営する、裁判書類の送達を目的とした現況調査を行う会社。費用も比較的抑えられており、実績も豊富でした。

依頼から10日ほどで詳細な報告書が届きました。そこには、実際に訪問して伯父に面会し、「相続に関する書類が届いているのでご確認ください」と丁寧に伝えてくれた旨が記載されていました。また、伯父は相続に関する郵便物を受け取った記憶がなく、家の中に持ち帰ってそのままにしている郵便物があるのでちゃんと見てみるとおっしゃっていました、とも記載されていました。

数日後、伯父から私の事務所に直接お電話がありました。
「相続の件、甥に任せたい。自分は特に受け取るつもりはないから」
あっさりとご意向を示してくださった伯父の言葉に、Hさんも大変安心されていました。

残るひとりは実弟。粘り強い訪問でついに反応が
ところが、問題は弟さんでした。住民票上の住所はわかっていても、まったく連絡がつかず返信がない。そこで私は、現地を訪問することを決意しました。

1回目の訪問は、土曜日の午前中。不在のようで、何度インターホンを鳴らしても反応はありません。ポストに「訪問した旨」を記したメモを残し、その日は帰りました。

3週間後、再び日曜日の夕方に訪問。今回も不在でしたが、今度はより確実に気づいてもらうため、玄関のドアポストに手紙を挟みました。

1週間後——
弟さんから私の事務所宛に、一通の手紙が届きました。
中には、「相続は放棄する。兄に任せたい」と記された文書が。あわせて、必要な書類のやり取りにも応じていただける旨が丁寧に書かれていました。

全員の協力で、ようやく成立した遺産分割協議
こうして、居所不明だった2名の相続人とも無事に連絡が取れたことで、いよいよ本格的に遺産分割協議を進めることができるようになりました。この時点で二人に最初の手紙を出してから4か月が経っていました。

あらためて、相続人5名全員の署名押印を得て、遺産分割協議書を作成。
内容は、被相続人である伯母のすべての財産をHさんが単独で相続する、というものです。

加えて、長年手つかずだった新潟の不動産、つまりHさんの祖父名義のままだった不動産についても、今回の相続人と同じ顔ぶれであったため、別で遺産分割協議書を作成し、この機会に相続登記を完了させることができました。

お客様の声

正直、最初は自分でも何とかなるかと思っていました。でも、居所が分かっても手紙に反応がない人たちを相手にするのは、本当に難しいと実感しました。

特に弟はずっと音信不通で、自分だと何度も訪問する勇気も時間もありませんでした。でも、先生が地道に動いてくださって、2回も訪ねてくれて、しかも諦めずに手紙を残してくれたことが結果につながったと思っています。

伯母が残してくれた財産をきちんと整理できたこと、祖父名義のままになっていた不動産までこのタイミングで名義変更できたこと、心から感謝しています。 自分たちでは絶対にここまでできなかったと思います。本当にありがとうございました。

今回の案件で、私自身あらためて痛感したのは、「居所不明」よりも「居所は分かるが連絡が取れない」ケースの方が、ずっと難しいということです。
郵便や電話ではどうしても反応がない。けれども「裁判所に不在者財産管理人を申し立てるほどではない」というグレーな状況。こうしたときに求められるのは、手間と時間を惜しまず、粘り強く対応する姿勢です。
幸い、Hさんも私も「急ぎすぎず、丁寧に進める」ことの大切さを共有できていたため、最終的には全員の協力を得て、誰も不快な思いをせずに手続きを終えることができました。

「相続人の一人と連絡が取れない」「どう進めてよいか分からない」——そんなときは、専門家に相談することでスムースに解決できることがあります。当事務所では、相続人調査・連絡サポートから遺産分割協議書作成、相続登記まで一貫して対応しております。お困りの際はお気軽にご相談ください。

※参考記事「居所不明・連絡不能な相続人がいる場合の対応法|不在者財産管理人・預金解約の実務も解説」

相続でお困りの際は、ぜひご相談ください。

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