ややこしい相続の解決事例

CASE

[相続手続丸ごとサポート]

【相続手続】兄の遺留分を尊重し、争わずに解決できた自筆証書遺言の相続手続き(東京都杉並区)

Sさん(62歳) | 東京都杉並区在住 | 女性

Sさん(62歳) | 東京都杉並区在住 | 女性

母が遺した自筆証書遺言に自分の名がなく、衝撃を受けた兄。すべてを妹に相続させる内容の遺言をめぐり、兄妹の間に生じた遺留分問題を丁寧な対話と法的整理で円満にまとめた解決事例です。

Sさん(62歳) | 東京都杉並区在住 | 女性

背景事情

相続のご相談で私のもとを訪れたのは、東京都杉並区にお住まいのSさん(62歳)でした。
お母様が88歳で亡くなり、葬儀を終えたあとに遺品の整理をしていたところ、仏壇の奥から自筆証書遺言が見つかったとのことでした。その遺言には「全財産を娘のSに相続させる」と書かれ、娘への感謝の言葉が丁寧に綴られていましたが、お兄様に関する記載は一切ありませんでした。

Sさんは長年、お母様の介護を担ってこられました。結婚して家庭を持ちながらも、月の半分は実家に泊まり、お世話を続けてこられたそうです。一方のお兄様は千葉県にお住まいで、持病のため入退院を繰り返しているとのことでした。 「遺言どおりに進めたいけれど、兄を傷つけたくない」――Sさんはそんな複雑な思いを抱えておられました。私は、遺言を法的に確認しつつ、できるだけ穏やかに話し合いで解決する方向を目指すことを提案しました。

当事務所の対応

遺言の検認と財産調査

まず、家庭裁判所に自筆証書遺言の検認手続きを申し立てました。検認が無事に終わったあと、預金・不動産・保険などの調査を行い、総額約4,000万円の財産目録を作成しました。

  • 自宅の土地・建物:3,000万円
  • 預金:1,000万円
  • 生命保険(Sさん受取人):2,000万円

財産の全体像を整理することで、今後の話し合いの前提が明確になりました。

兄との面談

遺言の内容を踏まえ、お兄様と直接お会いする機会を設けました。ご自宅を訪問し、遺言が法律上有効であること、そしてお母様がどのような想いで遺言を残したのかを丁寧にお伝えしました。 お兄様は最初こそ大きなショックを受けられ、「なぜ自分の名が一言もないのか」と深く落胆されていました。しかし、財産の内容や妹の介護の状況を知るにつれ、徐々に冷静さを取り戻されました。やがて、「自分には遺留分があるはずだ」とのご意見を述べられ、感情よりも現実的な話し合いへと進むことができました。

遺留分の申し出と協議成立

数日後、お兄様から私の事務所にお電話をいただきました。「遺留分として1,000万円を請求したい。この金額で妹が納得してくれるなら、争いごとにはしたくない」とのこと。

私はすぐにSさんにお兄様の意向をお伝えしました。Sさんは少し考えた後、「母の遺志は大切にしたいけれど、兄とは争いたくない」とおっしゃいました。その言葉どおり、お兄様の申し出を受け入れ、遺言を前提としつつ遺留分1,000万円を支払う内容の遺産分割協議が成立しました。

思いがけない別れと最終合意

しかし、協議書の署名捺印を目前にして、お兄様がご病気のため急逝されました。突然の訃報にSさんも深く心を痛められましたが、後日、お兄様の奥様と娘さんから連絡があり、「夫の遺志を尊重したい」と快く合意してくださり、手続きは無事に完了しました。

お客様の声

「兄に申し訳ない気持ちもあり、どうすればいいか分からず悩んでいました。先生が間に入ってくれたおかげで、家族として最後まで話し合うことができました。自分では到底ここまでまとめられなかったと思います。本当にありがとうございました。」

本件を通じて、相続とは単なる財産の分け方や手続きではなく、家族の歴史と想いを整理する行為だということを強く思いました。法律だけでなく、感情を丁寧に受け止めることこそ、専門家の役割だと感じました。

※参考記事① 遺言があっても遺産分割協議は可能?課税リスクと協議書の注意点を解説

※参考記事② 自筆証書遺言作成の注意点と公正証書遺言との違いを徹底解説

相続でお困りの際は、ぜひご相談ください。

この事例のサービス
関連記事
【相続手続】兄の遺留分を尊重し、争わずに解決できた自筆証書遺言の相続手続き(東京都杉並区)

お問合せ

CONTACT

ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問合せください。
専門スタッフが丁寧に対応いたします。

対応地域

全国対応(海外含む)

初回相談は
無料です