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未成年者が相続人の場合の手続きとは?特別代理人や外国籍の親の対応も解説

  • 投稿:2025年09月21日
未成年者が相続人の場合の手続きとは?特別代理人や外国籍の親の対応も解説

相続手続きにおいて、未成年者が相続人となるケースは珍しくありません。しかし、その場合には通常とは異なる注意点や手続きが必要です。特に、親権者も相続人となる場合には「利益相反」の関係が発生するため、特別代理人の選任が必要となります。また、親権者が外国籍である場合、印鑑登録の有無によって必要書類や手続きも変わってきます。本記事では、未成年の相続人がいる場合の基本的な流れを一般の方向けにわかりやすく解説します。

未成年者が相続人になるケースとは

相続はある日突然、誰にでも起こりうるものです。そして、その相続人の中に「未成年者」が含まれるケースも決して珍しくありません。たとえば、父親が亡くなり、母親と子どもたちが相続人になるといったご家庭では、子どもがまだ高校生や中学生ということも多くあります。

ここでの「未成年者」とは、法律上18歳未満の人を指します。これは2022年4月に民法が改正され、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことによるものです。つまり、17歳まではたとえ高校生でも法律上の「未成年者」として扱われ、自分ひとりで契約などの法律行為を行うことはできません。

相続においても、この点は非常に重要です。未成年であっても相続人としての権利はしっかりと認められており、年齢に関係なく法定相続分に従って財産を受け取ることができます。ただし、自分で相続手続きを進めることはできないため、通常は親権者が代理人として行動します。

しかし、親権者自身も相続人である場合には、単に「代理」では済まないケースもあります。なぜなら、相続の話し合いでは、誰がどれだけの財産を受け取るかを決める必要があり、その中で親と子の利益がぶつかることがあるからです。このような状況を「利益相反」といい、ここに法的な注意が必要になります。

次のセクションでは、この「親権者が代理人になる際の注意点」について、もう少し詳しく見ていきましょう。内縁関係とは、法律上の婚姻届を提出していないものの、事実上は夫婦と同様に共同生活を営んでいる関係を指します。生活の実態としては夫婦と同様であっても、法律上の「配偶者」とはみなされないため、相続においては大きな違いが生じます。

親権者が代理人になる際の注意点

未成年者は法律行為を単独で行うことができないため、相続手続きにおいても通常は親権者が代理人として動きます。たとえば、母親が親権者である場合、未成年の子どもの代わりに遺産分割協議に参加し、署名や押印を行うのが基本的な流れです。

しかし、ここで注意が必要なのが「親権者自身も相続人である場合」です。このようなケースでは、親と子がそれぞれ自分の相続分を主張する立場にあり、利害が対立するおそれがあります。これを「利益相反」といい、親権者が子どもの代理人として手続きを進めることができなくなるのです。

このような利益相反の場面では、家庭裁判所に申し立てて「特別代理人」を選任する必要があります。特別代理人は、未成年者に代わって公平な立場で遺産分割協議に参加するための法的な代理人です。

特別代理人と聞くと弁護士などの専門家をイメージするかもしれませんが、実務では「相続に関与しない親族」を候補者とするケースも多くあります。たとえば、亡くなった人の兄弟姉妹や親族の中から信頼できる人を選び、裁判所に候補者として申請することが可能です。もちろん、相続に利害関係がないことが前提ですが、費用を抑えられるという意味でも、身内を候補者にする方法は現実的な選択肢となっています。

特別代理人の選任には、申立書や戸籍謄本、相続関係を示す資料、遺産分割協議書案などを提出し、裁判所の許可を得る必要があります。申立てから選任までは、地域や状況にもよりますが、おおむね1〜2か月ほどかかるのが一般的です。 また、遺産分割協議書に署名する際には、この特別代理人が未成年者の代理として署名・押印を行います。この部分を間違えて親権者が代理署名してしまうと、手続きが無効になるリスクもあるため、慎重な確認が求められます。

外国籍の親権者がいる場合の手続きの違い

未成年者が相続人となる場合、その代理人として親権者が関与しますが、その親権者が外国籍である場合には、手続きにいくつかの違いが生じます。特に、フィリピン国籍の母親など、日本以外の国籍を持つ親権者が関係するケースでは、印鑑登録の有無や在住地域によって、必要となる書類や確認手続きが変わってきます。

まず、日本に居住しており、印鑑登録をしている外国籍の親権者であれば、他の日本人と同様に、実印と印鑑証明書を使って遺産分割協議書に署名・押印を行うことが可能です。この場合、手続きは比較的スムーズに進みます。

一方で、日本に住んでいても印鑑登録ができない場合や、そもそも海外に住んでいる場合は、印鑑証明書の代わりとなる書類を用意しなければなりません。一般的には、署名証明書(サイン証明)や、在外公館で発行される公証書類などが必要になります。たとえば、フィリピンに居住している場合は、現地の公証人または日本大使館・領事館を通じて、署名証明書を取得するのが一般的です。

まとめ

未成年者が相続人となる場合、法律上の相続権はしっかりと認められているものの、実際の手続きには特有の注意点が数多くあります。中でも重要なのは、親権者が相続人を兼ねている場合に発生する「利益相反」の問題です。このようなケースでは、家庭裁判所で特別代理人を選任しなければ、遺産分割協議書の有効性が認められない可能性があります。

また、親権者が外国籍である場合は、印鑑登録の有無や在住状況に応じて必要書類が変わり、対応が煩雑になることもあります。遺産分割協議書の署名・押印においては、誰がどのように記載・押印するのかを誤ると、手続き全体がやり直しになるリスクもあります。 相続は感情的にも負担のかかる場面ですが、手続きの正確さが何よりも大切です。未成年者や外国籍の関係者が含まれる場合には、早めに専門家へ相談し、必要な準備を整えることがスムースな相続の第一歩となります。

よくある質問

○未成年者が相続人になった場合、どのような手続きが必要ですか?
未成年者も相続人としての権利を持ちますが、自ら手続きを行うことはできません。通常は親権者が代理しますが、親権者が他の相続人である場合は特別代理人を家庭裁判所で選任する必要があります。

○特別代理人の選任はどのように行われますか?
特別代理人の選任は、家庭裁判所に申し立てることで行います。弁護士などの専門家に限らず、相続に関与しない親族を候補者とすることも可能です。申立てには戸籍謄本や申立書、遺産の概要資料などが必要です。

○親権者が外国籍の場合、相続手続きで注意すべき点はありますか?
はい、外国籍の親権者が印鑑登録をしていない場合、署名証明書やアポスティーユ付き書類が必要になることがあります。日本に住んでいて印鑑登録済みであれば、通常の手続きと大きくは変わりません。

○遺産分割協議書の署名方法はどうすればよいですか?
未成年者の場合、本人ではなく代理人が「○○(未成年者の氏名)代理人 ○○(氏名)」と記載して署名・押印します。特別代理人が選任された場合は、親ではなくその代理人が署名する必要があります。

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Kさん(30歳) | 東京都杉並区在住 | 男性

フィリピン国籍の母をもつ未成年の代襲相続人が複数いる相続手続を解決した事例です。

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