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相続しない方法は3つある?家庭裁判所への手続きとの違いもわかりやすく解説

  • 投稿:2025年11月03日
相続しない方法は3つある?家庭裁判所への手続きとの違いもわかりやすく解説

「相続はしたくないけれど、どうすればいいの?」という方に向けて、相続を放棄するための代表的な3つの方法をわかりやすく紹介します。家庭裁判所への相続放棄、遺産分割協議で相続を辞退する方法、そして相続分の譲渡という選択肢。似ているようで実は大きく異なるこれらの手続きの特徴と違いを、初心者の方でも納得できるように丁寧に解説します。

相続しないための3つの選択肢とは?

「相続はしたくない」「遺産を受け取らずに済ませたい」と考えたとき、実は選べる手段はいくつかあります。特に知っておきたいのは、「相続放棄」「遺産分割協議での辞退」「相続分の譲渡」という3つの方法です。

どれも一見似ているように見えますが、手続きの場所や効果、家族間での関係性に与える影響まで、それぞれ大きく異なります。たとえば、家庭裁判所を通して行う相続放棄は、最初から相続人でなかったことにできる強力な手続き。一方、他の相続人との話し合いで自分の取り分を放棄する方法は、合意があって初めて成立するものです。そしてもう一つ、相続分そのものを特定の人に譲り渡すという手段もあります。

この記事では、それぞれの方法の特徴や違いを初心者にもわかりやすく解説していきます。どの選択肢が自分に合っているのかを判断するために、まずは一つずつ見ていきましょう。

家庭裁判所で行う相続放棄とは?

相続を一切受け取りたくない、関わりたくないという場合に、もっとも明確で法的にも強い効果を持つのが「相続放棄」です。これは、相続が発生したことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述することで成立する正式な手続きです。

この相続放棄の大きな特徴は、法律上「最初から相続人でなかったこと」になる点です。つまり、プラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産もすべて放棄することができます。相続人であること自体をリセットするようなイメージで、後から「やっぱり取り消したい」と思っても原則として撤回できません。

また、注意すべきなのは、相続放棄をすると次に控えていた相続人、たとえば兄弟や甥・姪などに相続権が移る場合があるという点です。結果的にトラブルの火種になることもあるため、家族間でしっかり話し合っておくことが大切です。 手続き自体は難しくありませんが、必要書類の準備や書き方のミスには注意が必要です。不安がある場合は、司法書士や弁護士など専門家のサポートを受けると安心です。

相続しない遺産分割協議書に署名・捺印する方法

家庭裁判所を通さずに相続を辞退する方法として、「遺産分割協議」で自らの取り分を放棄するという選択肢があります。これは、法定相続人全員で話し合って遺産の分け方を決める際に、「自分は何も相続しない」と合意する形です。合意内容は「遺産分割協議書」に記載され、全員の署名・捺印によって成立します。

この方法の大きな特徴は、相続人としての立場はそのまま残るという点です。つまり、名目上は相続人のままで、遺産を実際には受け取らないという扱いになります。そのため、万が一相続財産の中に借金などの債務が含まれていた場合には、その支払い義務を免れることができません。ここが相続放棄との大きな違いです。

また、法定相続分どおりに他の相続人が遺産を受け取るように協議がまとまった場合、自分の相続分は他の相続人全員に法定割合で再配分されます。たとえば、自分以外に相続人が2人いる場合、自分の分はその2人に均等に振り分けられることになります。これも、「特定の人に譲る」ことができる相続分の譲渡との違いです。 この方法は柔軟ではありますが、相続放棄のように法律的に相続人でなくなるわけではないため、後から予期しない債務の請求が来る可能性もあります。そのリスクを踏まえたうえで、選択することが大切です。

特定の相続人に自分の相続分を譲渡する方法

相続人であることを前提に、自分の相続分を他の相続人に譲り渡すことができる制度が「相続分の譲渡」です。これは民法上認められている方法で、譲渡は有償でも無償でも構いません。家庭裁判所を介する必要はなく、譲渡契約書を作成すれば手続きとしては成立します。

この方法の大きな特徴は、「誰に譲るか」を自分で選べることです。遺産分割協議での辞退が全体の合意を必要とするのに対し、相続分の譲渡は基本的に譲渡者と譲受者の2者間で行えるため、比較的シンプルです。ただし、債務がある場合には譲渡によって責任が消えるわけではなく、相続人としての地位は一定程度維持される点には注意が必要です。

さらに、専門家の立場からお伝えすると、相続人が多数いるケースでは、この「相続分の譲渡」を活用することで、遺産分割協議に参加するメンバーを実質的に減らすことができるというメリットがあります。たとえば、遠方に住んでいて協議に参加しにくい相続人や、内容に関心がない相続人が自分の相続分を特定の人に譲渡すれば、その後の協議がスムースに進みやすくなります。 実務上では、この譲渡を行った上で、残った相続人で遺産分割協議をするという流れも多く見られます。登記や金融機関での手続きにも関係するため、事前に専門家に相談しながら進めると安心です。

まとめ

「相続しない」という意思を実現するには、大きく分けて3つの方法があります。それぞれ手続きの流れや効果が異なるため、選び方を間違えると望まない結果を招くおそれもあります。

相続放棄は、もっとも法的に明確な方法で、相続人としての立場そのものを放棄するものです。借金などの負債も含めて一切の責任を免れることができる反面、家庭裁判所での手続きや期限の制限があります。

遺産分割協議での辞退は、相続人としては残りつつも、実際に財産を受け取らない方法です。ただし、他の相続人への自動的な再配分や、債務を相続する可能性があるため、注意が必要です。

相続分の譲渡は、自分の取り分を特定の相続人などに自由に譲ることができる手段で、相続人が多い場合の調整にも役立ちます。しかし、こちらも債務を免れることはできず、相続人としての立場は残る点に注意が必要です。

それぞれの方法を正しく理解し、自分や家族の状況に合った選択をすることで、トラブルのないスムースな相続手続きが可能になります。迷った場合は、専門家のサポートを受けながら進めるのが賢明です。

よくある質問

○相続放棄をすれば本当に借金を完全に避けられますか?
はい、相続放棄を正式に家庭裁判所で行えば、法律上は最初から相続人でなかったことになります。そのため、被相続人が残した借金などの債務も一切引き継がずに済みます。ただし、手続きは相続開始を知った日から3ヶ月以内に行う必要があるので、早めの対応が重要です。

○遺産分割協議で「相続しない」と言えば債務も負わなくていいのですか?
いいえ、遺産分割協議で財産を受け取らないと決めても、相続人であることに変わりはありません。そのため、相続財産に借金が含まれていた場合は、債務についても責任を問われる可能性があります。債務を回避したい場合は、相続放棄を検討すべきです。

○相続分の譲渡をしたら、遺産分割協議には参加しなくていいですか?
原則として、相続分を譲渡した相続人は遺産分割協議に関わる必要はなくなります。譲受人がその分を受け継いで協議に参加します。ただし、手続きが適切に行われていること、他の相続人との調整が済んでいることが前提です。

○家庭裁判所に申し立てる相続放棄と、話し合いでの辞退はどう違うのですか?
家庭裁判所に申し立てる相続放棄は、法的に「相続人でなかった」ことになる強い効果があります。一方、遺産分割協議での辞退はあくまで財産の受け取りを断るだけで、相続人としての立場は残ります。このため、債務の有無や法的リスクを比較して選ぶことが重要です。

○相続分の譲渡はどんなときに使うのが効果的ですか?
相続人が多数いる場合や、自分は相続に関わりたくないけれど特定の人に取り分を集めたいときなどに有効です。たとえば、実際の相続をまとめて進めたいときに、関心の薄い相続人が譲渡することで、遺産分割協議の人数を減らし、スムースな手続きが期待できます。

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