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相続時に注意したい名義預金・名義証券・名義保険の落とし穴とは?

  • 投稿:2026年01月21日
相続時に注意したい名義預金・名義証券・名義保険の落とし穴とは?

相続手続きの中で意外と見落とされがちな「名義預金」「名義証券」「名義保険」。一見すると家族の名義になっているため相続とは無関係に思えますが、実はそれらが「相続財産」として扱われるケースも少なくありません。この記事では、それぞれの名義財産がなぜ相続財産になるのか、その基本的な考え方を初心者の方にもわかりやすく解説します。

名義財産とは?相続との関係を知っておこう

相続においてよく問題になるのが「名義財産」です。これは、たとえば子どもの名義になっている預金口座や、配偶者名義の株式など、一見すると他人の財産のように見えるものの、実質的には被相続人(亡くなった方)の財産とみなされるものを指します。

ここで重要なのは、「名義」ではなく「実質」が重視されるという点です。たとえば、ある親が子ども名義で銀行口座を作り、毎月こつこつと自分のお金を振り込んでいた場合、そのお金は形式上は子ども名義の預金ですが、実質的には親のお金です。このようなケースでは、相続が発生した際に「名義預金」として相続財産に含まれる可能性が高くなります。

また、たとえば夫の資金で妻名義の株式を購入していた場合や、親が保険料を負担している保険契約なども、内容によっては名義財産と判断されることがあります。つまり、「誰の名義か」よりも、「誰のお金で取得したのか」「誰が管理・運用していたのか」といった実態が問われるのです。 相続手続きでは、このような名義財産の存在に気づかずに進めてしまうと、後から「申告漏れ」と指摘されてトラブルになることもあります。ですから、名義と実態が一致しているかどうかを冷静に確認することが、相続をスムースに進める第一歩となります。

名義預金が相続財産になる理由

相続でよく問題になるのが「名義預金」です。これは、見かけ上は被相続人以外の家族の名義になっているものの、実際には被相続人の財産であると判断される預金を指します。

たとえば、親が毎年、贈与税がかからない範囲内で子ども名義の預金口座に資金を積み立てていたケースがあります。親としては「子どもにお金を残してあげたい」との思いからの行動ですが、もし子どもがその預金の存在を知らず、通帳や印鑑も親が管理していたような場合、形式的には子ども名義であっても、実質的には親の財産だと判断される可能性があります。こうした預金は「名義預金」とされ、相続財産に含まれることになるのです。

名義預金の判断にあたっては、次のようなポイントが重視されます。

  • 誰がその預金を作ったのか、資金の出どころはどこか
  • 誰が通帳や印鑑を保管していたのか
  • 名義人本人がその預金の存在をどれだけ認識し、自由に使える状態だったのか

これらの実態が「名義ではなく実質」を見る判断材料になります。

さらに注意すべきなのが、名義預金に限らない「実質的な所有権の移転」が問題となるケースです。たとえば、専業主婦の妻が長年にわたって蓄えてきた預金が、実は夫の収入から捻出されていた場合、その一部が夫の財産とみなされることがあります。このような場合には、たとえ妻名義であっても、夫の相続財産として扱われる可能性が出てきます。 つまり、名義が誰であれ、実際にそのお金を出した人、管理していた人が誰なのかが相続における重要な判断ポイントになります。形式的な名義だけで安心せず、実態に目を向けることが大切です。

名義証券が相続対象になる背景とは

相続の場面では、預金だけでなく「名義証券」にも注意が必要です。特に、家族名義で開設された証券口座に、実際には被相続人の資金が使われていた場合、それが相続財産とみなされることがあります。

たとえば、夫が妻にまとまった資金を預け、「管理しておいて」と依頼したケースを考えてみましょう。妻はその資金を使って自身の名義で証券口座を開設し、株式や投資信託を購入・運用していたとします。この場合、証券口座の名義は妻であっても、元の資金が夫のものであり、運用益も含めて夫の財産として扱われる可能性があるのです。

証券口座の開設には本人確認が必須ですので、名義人本人がその口座を認識していないということは基本的に考えにくいでしょう。しかし、名義人の認識があったとしても、それが名義人自身の財産と見なされるかどうかは、資金の出所や運用の実態によって判断されます。

名義証券が問題になる背景には、単に「名義を借りただけ」で済まされないという税務上の厳密な考え方があります。特に証券の場合、資産の動きが明確に記録に残るため、税務調査で実態が明らかになりやすい点にも注意が必要です。

名義保険にも注意!保険契約と相続の関係

相続の場面で見落とされがちなのが「名義保険」の存在です。生命保険は契約形態が複雑で、誰が契約者で、誰が保険料を支払い、誰が保険金の受取人かによって、税務上の取り扱いが大きく異なります。そのため、形式的な名義だけで判断してしまうと、思わぬ相続トラブルや申告漏れにつながることがあります。

たとえば、次のようなケースを見てみましょう。

具体例1:親が保険料を支払い、子が契約者・受取人になっているケース
親が自分の資金で子ども名義の保険契約を結び、保険料を支払い続けていたとします。形式上は子どもが契約者・受取人ですが、実質的には親が保険料を負担していたため、この契約は「名義保険」として、相続財産に含まれる可能性があります。

このような場合、子どもは保険金の受取時に「贈与」ではなく「相続」として課税対象になることがあります。また、名義人である子どもがその保険契約の存在を十分に把握していなかった場合、より一層、名義保険と判断されるリスクが高まります。

具体例2:専業主婦の妻が契約者となり、夫が保険料を支払っていたケース
夫が毎月の保険料を支払いながら、契約者を妻とし、受取人も妻にしていた場合、一見すると妻のための保険契約のように思えます。しかし、実際には夫の収入で成り立っている契約であり、妻はその保険内容について深く関わっていないといったケースでは、夫の名義保険として相続財産に含まれる可能性があります。

生命保険は非課税枠があるため相続税対策として利用されることもありますが、形式的に名義を変えているだけで実質が伴っていなければ、逆に税務上のリスクとなることがあります。

具体例3:高齢の親の名義で契約し、実際には子が保険料を払っていたケース
逆のパターンとして、親が契約者となっているものの、実際には子どもが保険料を支払い、親に万が一のことがあった際の受取人も子どもになっているというケースもあります。こうした場合も、実質的な保険料負担者が誰かという点が問われ、名義保険と認定されることで、贈与税の課税対象となる場合もあります。 このように、保険契約においては「名義人が誰か」ではなく、「保険料を誰が支払っていたか」「契約の意図と管理状況はどうだったか」が重要な判断材料となります。

名義財産の確認と生前対策のポイント

相続が発生したときに名義財産が問題になると、相続税の申告漏れだけでなく、親族間のトラブルや遺言の解釈をめぐる混乱が生じることがあります。こうした事態を防ぐためには、名義財産を「放置しない」ことが大切です。

まず、家族名義の預金口座や証券口座、保険契約などについて、誰の資金で作られ、誰が管理し、名義人がどれだけ内容を把握しているかを見直すことから始めましょう。そして、実質的に自分の財産であるものが他人名義になっている場合には、「名義性」を生前に解消することを検討すべきです。

たとえば、子ども名義の預金があるとしても、子どもがその存在を知らず、通帳や印鑑を親が管理していたのであれば、それは親の財産と見なされる可能性があります。その場合、名義人に実際の管理を任せる、契約を見直すなど、名義と実態を一致させる努力が必要です。

さらに注意したいのが、遺言書との関係です。たとえば、ある親が子どもAの名義で預金を作りながら、遺言書では「預金を含むすべての財産を子どもBに相続させる」と記していたとします。形式的には預金は子どもAのものですが、実質的に親の財産であった場合、この預金は遺言に従って子どもBに相続される可能性があります。

このような場合、遺言者の意図としては「名義預金はすでにAにあげたもの」という認識だったかもしれません。しかし、実態が「親の財産」であったと判断されれば、遺言の内容に従って名義人以外の相続人にその預金が渡るという、意図と異なる結果になることがあり得るのです。

また、名義財産を名義人に移すことは、場合によっては「贈与」と見なされ、贈与税が発生する可能性もあります。贈与の証明が不十分であれば、将来的に相続財産として再評価されるリスクもあるため、安易な名義変更には注意が必要です。 名義財産の整理は、節税目的だけでなく、家族間の認識をそろえ、遺言の意図を正しく反映させるためにも非常に重要な作業です。無理なく、かつ誤解のないように進めるためには、早めに税理士や法律の専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

名義預金、名義証券、名義保険といった「名義財産」は、相続の現場で見落とされやすい一方、税務上や法律上では重要な問題になることが多い財産です。形式上は家族の名義になっていても、実際の資金の出どころや管理の実態が被相続人であれば、それらは相続財産として扱われる可能性があります。

特に名義預金は、多くの家庭で「子ども名義で預金を積み立てている」といった形で存在しており、相続時にその性質が問われます。また、名義証券や名義保険についても、契約の内容と資金の流れを明確にしておかないと、思わぬ課税やトラブルを招く恐れがあります。

さらに注意したいのは、遺言との関係です。名義財産がある場合、遺言に記された内容と実態とのズレによって、名義人とは異なる相続人に財産が渡るという、遺言者の意図に反した結果となることもあるのです。 こうした事態を避けるためにも、生前のうちに名義と実態を整理し、必要に応じて専門家の助言を受けながら、名義財産の確認と対策を行っておくことが大切です。家族が安心して相続を迎えられるよう、今からできる準備を進めていきましょう。

よくある質問

○名義預金とはどういうものですか?
名義預金とは、形式的には家族など他人の名義になっているものの、実質的には被相続人の資金であると判断される預金のことです。通帳や印鑑の管理状況、資金の出どころ、名義人の認識などをもとに実態が判断され、相続財産に含まれることがあります。

○相続財産に該当するかどうかはどう判断するのですか?
名義だけでなく、「誰の資金か」「誰が管理していたか」「誰のために運用されていたか」といった実質的な要素をもとに判断されます。税務署は名義人の認識や管理状況などの客観的な証拠も重視して判断します。

○名義保険はどうして相続税の対象になるのですか?
保険契約において、契約者や受取人が被相続人ではない場合でも、保険料を被相続人が支払っていたなどの実態があると、その保険は相続財産とみなされる可能性があります。形式だけでなく保険料の出所や契約の管理状況が重要です。

○遺言書があっても名義預金があると想定外の結果になることがありますか?
あります。たとえば子どもA名義の預金であっても、実際には親の財産と認定されれば、遺言書で「すべての財産を子どもBに相続させる」と書かれていた場合、その名義預金が子どもBに相続されることになります。遺言者の意図と異なる結果になり得るため注意が必要です。

○専業主婦の妻名義の預金も相続財産とされることがありますか?
はい。長年の生活費から蓄えられた妻名義の預金であっても、その資金の出どころが夫の収入であり、かつ妻が独自に管理・運用していなかった場合、その一部が夫の財産として相続財産に含まれる可能性があります。実質的な所有関係が問われるのです。

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